俺だけレベルアップな件第112話~第115話

向坂入団テスト編

第112話

俺だけレベルアップな件

諸菱は、水篠に対して否定的なコメントを書いてある記事をみつけると、告訴状を作成し相手に送り付けていた。

一段落つき、一息入れていると、水篠が音もなく事務所に戻ってくる。驚く諸菱。水篠はゲート攻略時に回収した魔法石を諸菱に手渡す。かなりの金額になるようで、新しいメンバーの給料は心配ないと喜ぶ。ギルドを創設するには3人必要なため、まだ1人足りていない。数合わせに呼ぶだけなのだが誠実な人がいいと水篠が話す。諸菱は大事な問題があると水篠に話す。ギルドの名前がまだ決まっていなかったのだ。諸菱は水篠に2人の名前を取って「水諸ギルド」「諸水ギルド」などを提案するが、水篠は1人で回るギルドだから「ソロプレイギルド」でいいんじゃないかと話す。そのセンスのなさに驚く諸菱。
その時、ドアをたたく音が聞こえた。S級ハンターの向坂が、水篠のギルドに加入したいと申し出てきたのだ。ソファーに座り話をしていく中で、向坂も諸菱同様、ギルド名に驚く。決定事項のようになっているので、諸菱が慌てて間に入る。水篠は今の状況について行けず、いったん落ち着くことにする。向坂がなぜ高い違約金を払ってまで自分のところのギルドに加入したいのか疑問に思い、向坂のことを必要以上に警戒する。向坂はただ、ほかのハンターとニオイが違う水篠に好奇心をもったこと、灰色の世界で唯一色を感じたこと、架南島レイドを経て最後の瞬間にそばにいてほしいと感じたことなど、恋心をいだいているため加入を決意しているのに、水篠は鈍感なためそういった方面にも勘が働かない。急遽、加入テストをすることを向坂に伝える。加入テストは水篠の影と戦って勝つこと。自身に満ち溢れている向坂に、水篠は特別に一番強いのを選ぶことを伝えるのであった。

第113話

水篠は向坂に今から協会の体育館でテストをすることを告げる。水篠の事務所から協会まで少し距離があるため、水篠は「影の交換」で複数移動が可能なのか試す。向坂の肩をつかみ自分の方へ引き寄せる。ほおが赤くなる向坂。

2人は無事、協会体育館へ移動する。水篠は「影の交換」の仕組みを「ゲート」と同じ仕組みではないかと考える。
早速テストを開始する。倉庫にある適当な長剣を手に取る向坂。そのオーラを感じ、水篠は悪魔王の長剣をイグリットに持たせて戦わせる。イグリットの一振りで長剣から雷撃が飛び出す。それを難なくかわす向坂。
別棟にいた後藤が体育館から強いオーラに気づく。しかし監視カメラの映像から水篠と向坂が2人きりでいることを知り、向坂の思いを察していた後藤は監視カメラの電源を切らせるのであった。
イグリットがあっさりと倒される。水篠もこれには驚く。向坂がさらに強い影を出すよう、水篠に言う。どうやら「ベル」を影の兵士にしたことを知っていたようだ。強いプレッシャー・恐怖を感じながらもリベンジに燃える向坂であった。

第114話

ベルが水篠に、向坂をどのようにすればよいかたずねる。水篠は本気を出したベルに向坂はかなわないと考えているため、ケガをさせないように倒せと指示を出す。ベルの雄叫びで天井がきしみ電灯がいくつか割れる。

向坂はその凄まじいプレッシャーを感じる。向坂は攻撃を繰り出すが、そのすべてをベルにかわされる。攻撃をかわし、向坂の前で雄たけびを上げるベル。戦力差を見せつけるにはそれで十分だったが、向坂は負けを認めずまだ試験を続けようとする。ベルに異変が出始める。本能的な殺意を押し殺して戦っていたのだが、本能的な警告から向坂を排除しようとする。向坂はスキルの「剣舞」や「光の剣」などを使用する。ベルの胸を向坂の剣が貫く。その瞬間、ベルの脳内に女王アリから言われ続けた「敵を殺せ」という、単純で本能的な指示が再び蘇る。水篠が呼び止めるが、すでにベルの爪は向坂をとらえようとしている。間一髪で水篠が止めに入る。ベルは割れに戻り、水篠にひたすら謝り続ける。
ここで試験は終わる。水篠が向坂になぜそこまでして自分のところに入る必要があるのか再度たずねる。返事がない向坂に対し、目的が読めない水篠は、自分に気があるのかとたずねる。驚いた向坂。少し間を置き、そうみたいですと頬を赤らめて答えるのであった。

第115話

アメリカハンター管理局。管理局長のデイビットは、何が起きたのか説明を求めるデイビット。マイケルがノーマの「観察」の結果、水篠も「王の1人」だったと伝える。ノーマが補足する。覚醒者はみんな「あちら側の力」とつながっているのだが、その中でも「あちら側」から強くまぶしい光が見える覚醒者がいる。それをノーマ自身は「王」と呼んでいる。しかし、水篠にはその通路がなく、闇そのものだったと震えながら告げる。そのため、通路から送られてくる力しか使えない覚醒者とは違い、水篠には限界値が存在しないと付け加える。それを聞いたデイビットはマイケルを連れて地下24階に向かう。
道中、別の手段を使うと話すデイビット。最初のS級ゲートについての話になる。このゲートはダンジョンブレイクを起こし、アメリカ西部一帯を吹き飛ばすほどの規模だった。この対応に当たって生存したのが、たった5人。その5人は、のちに国家権力級と呼ばれるようになる。ダンジョンブレイクで出てきたモンスターに「消えない炎 ドラゴンカミッシー」がいた。このモンスター1匹に、数十人ものトップクラスハンターが殺された。

ハンターによって倒されたカミッシーの遺体からは、ルーン石が出てきた。これまでに国家権力級の中に、魔法系はいなかった。そのため、このルーン石を使って水篠を勧誘しようと考えているようだ。
水篠が自宅の鏡を見つめる。リビングにいた妹に男として自分はどうか。と質問をする。妹はめんどくさそうに、引きこもりがちの廃人だと答える。話は脱線していき、「ソロプレイギルド」と言う名のギルドを創ると妹に話す。名前が変だし、影の兵士を呼ぶのだから厳密にはソロではないと返される水篠。そこで妹は「我進(がしん)※韓国語読みでは(アジン)ギルド」なんてどうかと提案する。
向坂は自宅のベッドで大きな声を出していた。水篠に直接的な言葉ではないにしろ告白をしてしまったことを思い出し、赤面している。そこで急に美濃部から言われたことを思い出す。「自分の力に気をつけた方がいい」と水篠に警告する美濃部だった。