俺だけレベルアップな件第89話~第94話

親善試合編

第89話

病院について水篠は眠っている母親に「命の神水」を飲ませる。今までシステムが起こした奇跡を体験してきた水篠は、この薬にかける。「家族を守りたい」その一心でここまで強くなってきた水篠は、祈り続ける。しばらくして母親が目覚める。どのくらい眠っていたのかたずねられ、うつむきながら4年と答える。水篠の手が震える。その手を優しく握りしめ、傷だらけの手を見つめながら、つらかったでしょ?と問いかけられた水篠の目からは、これまで抑えてきた感情が涙となってあふれ出てくるのであった。

第90話

翌日、妹の葵が病院を訪れる。妹はお母さんに抱き着く。その光景を見て、努力が実を結び「真の報酬」を手に入れられたと安心する一方、これまでの戦いで足を踏み入れてはいけない領域まで来てしまったのではと不安に駆られる。
後藤から呼び出しを受けた水篠は、ハンター協会に向かう。架南島レイドへの参加要請だった。返事をしようとしたとき、ハンター同士のぶつかり合う魔力の波長を感じる。DFNのS級ハンターたちも集まっているとのことだ。水篠は見学に行くことにする。
体育館では、白川と明星ギルドマスターの町田が組み手をしている。その様子をDFNのハンターたちも見ている。

第91話

リューが水篠を発見する。さらに友谷の晴れ舞台を邪魔した水篠に若干の恨みをもっている黒須も水篠を見つめる。通訳のウィングが白川と町田の戦いを見て少々物足りなさを感じている。リューが向坂と後藤はうちのと並ぶと話す。その会話を聞いて騎士団ギルドマスターの坂東がつっかかる。坂東はA級のためウィングに小ばかにされる。
ウィングもA級。2人は勝負をする。先に相手の手首をつかんだ方が勝ちだ。この勝負は坂東が勝つのだが、これをきっかけに日本とDFNのS級ハンターたちも親善試合という形で勝負をすることになった。
日本からは、町田、黒須、白川、向坂が出る。

第92話

手首をつかまれる、背中をタッチされる、地面に身体が触れたら負けとなる。町田の能力は巨大化。DFNの力自慢と一騎打ちになる。黒須は魔力の矢をとばす。白川は魔獣化。それぞれが1対1で勝負するが、町田が力負けし脱落。黒須も壁に押し込まれ脱落。ここから一気にDFNが優勢となる。向坂の能力は不明だが、「舞姫」の異名をもつほど、洗練された素早い動きで相手を翻弄する。向坂が一人倒す。向坂が白川の援護に向かうとDFNのアーシーが背後から攻撃をしかける。とっさに十数発の突きを食らわせる向坂。その攻撃に理性を失うアーシー。アーシーの攻撃は親善試合の範疇を超え始める。危険を感じ水篠が間に割って入る。それでも攻撃をやめないアーシーを水篠が抑え込む。その動きは公式情報の「魔法系ハンター」とは到底思えないほどだった。白川も倒され、日本の負けとなる。圧倒的にDFNの方が強い。
親善試合は終わったが、今度はリューが水篠に勝負を申し込む。

第93話

リューは水篠の実力を見てみたいようだ。狙いはわからないが、腕試しをしたかった水篠はリューを前にして笑顔になる。通訳をとおして、水篠の条件を伝えられるリュー。その条件は、「全力でかかってくること」。
開始の合図を待たずに攻撃を仕掛けるリュー。リューの攻撃を涼しい顔でかわす水篠。リューも徐々に攻撃に力が入る。システムがリューの殺意に反応する。緊急クエストが発生すると厄介なことになる。水篠はリューのつきだした手をつかむ。手首をつかまず手をつかまれたリューは、激高する。勝負を楽しんでいる水篠とリューが激しくぶつかろうとするが、危険を感じたハンターたちに抑えられる。暑くなりすぎたと反省する水篠。
親善試合の間に後藤、最上、向坂、白川、リューの影に兵士たちを忍び込ませていたが、誰も気付かない様子だ。水篠が架南島レイド参加の返事を後藤にする。一方リューは大量の汗をかき何かに怯えているようだ。

第94話

その夜、白川は事務所で架南島レイド参加者の名簿に水篠がいないことを知る。リューは副マスターと連絡をしている。そこで、水篠の不参加を知る。電話を切ったあと、水篠との勝負中にハンターたちに止められた時のことを思い出す。水篠の後ろにとてつもなく大きくどす黒いオーラを感じ、あの瞬間「死」を感じた。その時の恐怖を抑え込もうとするリュー。
そのころ架南島架難山では、獲物が尽き、共食いを始めたことでこの島を離れようとする女王アリ。そのため、王国を牽引する強い兵士の必要性を感じる。卵の中でもひときわ大きい卵に語り掛ける女王アリ。その声を聞き、孵化するアリの王。
水篠は母親と妹と家に帰る。家はひどく散らかっている。3人で片付けながら、母親は水篠に父親から連絡があったかたずねる。父親もハンターをしているが消息がつかめていない。水篠は危険な仕事であるハンターをしていることを母親に言いだしづらいようだ。そのため、今回の架南島レイドも参加を見合している状況だ。
テレビでは架南島レイドに向けて特集が組まれていた。ネット上でも引退したのに参加したハンターがいるのに、不参加の水篠に非難の声が上がる。
諸菱から連絡が入る。水篠は諸菱とギルドの事務所の下見をする。その時に諸菱から水篠を探している外国人がいることを知る。その連絡先を渡される。
水篠は街で異常を感じたため、スキル:影の交換を使い、その場を離れる。そこには、通り魔が女性に刃物を向けていた。水篠が通り魔に話しかけると、自分より弱いものをいじめたくなるんだと持っていた刃物で水篠を何度も刺す。しかし、水篠の皮膚には傷1つつかなかった。すでに戦意を失っている通り魔に、自首を進める。自首しない場合は、影に潜ませた兵士に殺すよう命じている。
その翌日、架南島レイドが決行される。