俺だけレベルアップな件 あらすじ 第1話~第10話

二重ダンジョン編

第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話 第8話 第9話 第10話 

第1話

水篠旬(みずしのしゅん)はこの物語の主人公。ハンター協会に所属するE級ハンターである。最下級かつ最弱のハンターである水篠は今、全長が5mはあろうかという巨大な武器を持った石像に囲まれている。自分の身にこんなことが起きるとは想像もできなかった水篠は石像に・・・・。

東京。水篠は、一般人より丈夫で回復が少し早いのをのぞけば、ハンターと呼ばれるのが恥ずかしいほど弱い。それゆえ、普段から生傷が絶えず、生死をさまようこともしばしば。命を懸けた危険な職業「ハンター」を好きでやっているわけではなかった。母親の病院代をハンター協会から支払われる補助金でまかなうためにハンターという職業についている。高卒でこれといった才能もない水篠にとってハンターという職業は唯一の選択肢だった。
ゲート前で、真島久我が久しぶりに再会を果たした。久我は、奥さんが2人目を妊娠中。そのため、稼げる仕事であるハンターとしてレイドに久しぶりに参加する。久しぶりのレイドに不安があるようだ。真島が水篠を見つけ、声をかける。真島以外にも声をかけられている水篠を見て、久我が彼は強いの?と質問する。真島は久我が辞めた後に入ってきたハンターで別名「人類最弱兵器」と呼ばれていると話す。E級ゲートで入院するくらいで、ハンターの中で1番弱いのではないかと付け足す。だから水篠が呼ばれたレイドは、低級だと思えばいいようだ。そんな話すべてが水篠の耳に入っているが、特に反論する様子もない。

水篠さんケガしてる!!観月が心配そうに水篠に近づいてくる。ケガのことを聞かれて、いつもみたいに・・・ハハッ・・・と答える水篠。前回は、ランクが高い人が多く、ヒーラーがいなかったため水篠は入院するほどのケガを負ったようだ。観月はヒーラーが帯同していなかったことに腹を立てている様子だが、水篠は慣れているからと笑っている。
本日も水篠は生活のためにダンジョンに入る。ダンジョンに入る前にリーダーを決めることになった。馬淵がリーダーを務めるがいいかみんなにたずねる。この中で一番強いのは馬渕なのでみんなが賛成する。
同じダンジョンに潜入する真島から後ろで怪我をしないように粘っていろと言われるが、今日こそはとひそかに闘志を燃やしている水篠であった。

第2話

ハンター協会のスタッフがゲートを見つめている。水篠にコーヒーを渡してあげられなかったことが気になる。今回のダンジョンのランクはD。水篠が無傷だったことなんて一度もないため、心配しているようだ。

水篠はヒーラーの観月にこんなことを続けていたらいつか大事になると説教されながら治療を受けている。リーダーの馬淵は炎の魔法で、真島は剣で次々とモンスターを倒していく。レイドが終盤に差し掛かりホッとする観月。子どもが生まれるため、まとまったお金が必要になった久我も久々の参加だったが無事でいた。観月が水篠にハンターを辞められない理由があるのかたずねる。個人的な事情を話しても恥ずかしいだけだから、ただの趣味ですよ。これでもしていないと暇で死にそうでと返す。観月はここで殺されるより暇で死んだ方がマシじゃないかと怒り口調で話す。
モンスターを倒した際に手に入る魔法石は、C級モンスターにもなると100万以上の価値がある。しかし、E級のモンスターを倒して手に入れた魔法石が1つだけの水篠では、命を懸けているのに割が合わないものだった。

ダンジョンの奥にもう1つ入り口があるのを発見したパーティー。二重ダンジョンと言って非常に珍しいダンジョンの一つだ。ダンジョンのボスを倒すとゲートが閉じるのだが、まだ閉じていないので、ボスはまだ健在。こういうケースは、本来なら協会に報告するのだが、せっかくの取り分が減ってしまうため、17人の多数決をして進むか決めることになった。水篠の判断で多数決が決まる状況の中、妹の大学進学や母親の入院費などにお金がいるため、水篠は進むことを決断した。

第3話

ゲートをくぐってから40分が経過していた。ボスを倒すと1時間後にゲートが封鎖されるが、まだ20分ほど余裕がある。みんな奥へと歩いていく。B級ヒーラーの観月のおかげで重傷を負いながらもなんとかここまでこれたのに、さらに奥まで進むことに正気じゃないと怒られる水篠。その言葉に反省していると伝える水篠。観月は今度そのお詫びに何かご馳走になろうかなと照れながら話す。水篠は頬が赤くなる。返答がないため、自分と食事に行くのが嫌なのか質問される。いえっそんなまさか・・・。言葉を続けようとしたその時、

ボスのいると思われる部屋の扉の前につくパーティー。ほかのダンジョンとは雰囲気が違うため警戒するハンターたち。C級ハンターの中でも上位クラスの馬淵が1人でも進むと扉を開ける。みんなもそんな馬渕について行く。
扉を開けると灯台に火がともる。人目に触れることがなかったためか、部屋の中にある石像も寂れている。中央を向くように石像が並んでいる。石像は楽器を持っていたり武器を持っていたりと様々だ。その中にひときわ大きい石像があった。モンスターは見当たらない。部屋の中央には魔法陣があるだけであった。

石像の一体がルーン文字で「カルテノン神殿の掟」が書かれた石板を持っている。1つ目:神を敬せよ、2つ目:神を讃えよ、3つ目:神を信仰せよ。文字を解読していると観月が水篠の手をつかみながら、大きな石像の目が動いたと怯えている。水篠は妙な感覚になる。急に不気味なほど静かになったのだ。「この掟を守らない者は生きて帰れない。」馬淵が文字を読み終わると、扉が急に閉まった。反対していたハンターの1人が嫌気がさしたため扉を開けて帰ろうとする。馬淵が何かを感じ、扉に触れるなと叫ぶ。扉に手をかけた瞬間、扉付近の石像が持っていた武器でハンターが瞬殺される。そして、何事もなかったように元の体制に戻ったのであった。

その光景をみて水篠は、観月が言ったことが本当だったのでは?と大きな石像に目をやる。石像がこちらを見下ろしていたのであった。

第4話

石像が動いたことに、みんなが動揺する。先程倒されたハンターのランクはD。水篠よりは強い。普通ならD級ダンジョンにこれほどの強さを持ったモンスターは出てこない。馬淵が石像が動けるということは、あいつも・・・とひと際大きな石像を見つめる。
水篠はこれまで参加したダンジョンを思い出す。人生初のレイドでは、みんなとはぐれ遭難し、E級モンスターごときにやられ数週間入院したこともある。迷宮に閉じ込められ餓死しかけたこともあった。どんなにランクの低いダンジョンでも水篠にとっては毎回が命がけ。ハンターならダンジョンで稼いだお金で強い武器・防具を買うのだが水篠にはそれができない。安い武器を買ってもすぐ壊れてしまう。そのため、いつも身一つで戦う必要があった。みんなに「人類最弱兵器」とバカにされる日々を耐え、命を懸けてまで割に合わない仕事をしてきた。だからなのか何か感じるものがあった。

水篠がみんなに伏せるよう叫ぶ。次の瞬間大きな石像の目から光線がでる。水篠の呼びかけに答えた者は助かったが、それ以外の者たちは跡形もなく消えてしまった。観月は怯えて動けない。馬淵が起き上がらないよう指示を出す。馬淵が水篠に話しかける。その馬淵の左手も石像の攻撃でなくなっていた。馬淵は水篠に石像のランクを聞くが水篠には答えられない。2~3度経験があるB級にも、即死レベルのモンスターはいなかったと馬淵は話す。

大きな石像はA級あるいは・・・S級・・・。パルテノン神殿の掟を守らないと死んでしまう。掟に書かれていた「神」とは、目の前にいる大きな石像ではないかと考える2人。全滅するのも時間の問題だった。

第5話

ゲートとは、異次元とこっちの世界を結ぶ通路。10数年前から世界各地で出現し、ハンターの登場など常識を逸脱した出来事が起こり始めた。ハンターと呼ばれる覚醒者たちが一度得た能力は変化しない。水篠も覚醒したが、その力は極めて弱い「E級」。一般人より強いだけで他のランクの実力者の足元にも及ばない。ハンターたちは、ゲートの向こう側にあるダンジョンにいるモンスターを倒す役目を担っている。それを職にするものを「ハンター」とよぶ。ゲートの向こうには、時として恐怖でしかなく絶望に限りなく近い究極の怪物が待ち受けていることもある。

先程の一撃で生き残ったメンバーの戦意はすでに失われている。馬淵もあの石像の相手をせず、脱出しようと考えている。しかし、動けば、大きな石像(ここからは神像)に攻撃され、運よく扉まで行けてもほかの石像に攻撃される。スピードに自信のあるハンターが扉を目指して走り出すが、神像の光線の前に一瞬で消し飛んでしまった。水篠と馬淵は、その気になれば自分たちを皆殺しにできる神像の強さに悔しさをにじませながらも、なぜすぐに殺そうとしないのか考える。扉に近づくと攻撃してくる門番、動けば目から光線を出す神像。水篠は攻撃が規則的すぎると感じる。部屋にはルールがあり、そのルールは石板に書かれていた3つの掟であるのではないかと推測する水篠であった。

第6話

このダンジョンにはルールがあると話す水篠。馬淵はその眼差しから生きることをまだ諦めていないことを感じ取る。水篠が立ち上がると神像の目が光り、ひざまづくと目の光が消える。命がけの確認作業。その結果から頭の位置が低いと神像が攻撃してこないと理解する水篠。残ったメンバーに神像に頭を下げるよう指示をする水篠。真島は、何をバカなこと言ってるんだと、まだ現状を把握することすらできていない様子だ。馬淵が何かわかったのかとたずねる。神像は頭の位置が低いと攻撃してこない、1つ目の掟「神を敬せよ」の通りで、みんなでお辞儀をすれば・・・と話す水篠。それなら・・・とみんなが神像に向かって頭を下げる。これしきの事で無事に外に出られるのか半信半疑のメンバー。

その光景を見て、神像の目から光が消え、不気味に笑みを浮かべる。いつまでこうしていたらいいんだと水篠が考えていると、久我が攻撃がやんだため立ち上がる。それを見てみんなが立ち上がる。助かった、生きて帰れると歓声が上がる。

その時、10数mある神像が台座から立ち上がる。まだ終わりじゃないのか・・・。絶望に包まれるメンバー。水篠に次はどうすればいいのか質問する馬淵。水篠も戸惑っている。次の策は何もない。神像が歩き出す。このダンジョンでは、掟を破ってはいけないんだと思う。1つ目は「神を敬せよ」2つ目は「神を讃えよ」それが鍵だとみんなに話す水篠。協会で聖歌隊をしていたハンターが讃美歌には自信があると話す。神像に向かって歌いだす。少し動きが鈍くなったように感じるが、動きは止まらない。水篠は違和感を感じる。この神を讃える歌ではなかったのだ。次の瞬間、讃美歌を歌っていたハンターは、神像に踏みつぶされるのであった。

第7話

ハンターたちは、逃げ惑う。恐怖のあまり動けなくなったハンターは、神像に容赦なく踏みつぶされる。

馬淵が固まっていると危険だから散ろうと、指示を出す。恐怖でパニックになっている観月を一人にはできない水篠は手を引っ張り逃げいていく。

奥さんに二人目も生まれるし、危険な仕事はやめてほしいと言われていた。だからこそ稼ぐために復帰するんだと話していた久我。久我は、家族のためにも生きて帰らなければならない。逃げ切れたと思った矢先、後ろにいた石像が持っていた大剣を振り下ろし、久我を両断する。ほかにも武器を持った石像に近づいたハンターたちは襲撃を受ける。神を讃えよ・・・。あいつの何を讃えればよいのか。あんなのただの悪魔じゃないか。後ろには神像、前には動く石像。近づけば攻撃される。斧・・・槍・・・剣・・・ハンマー・・・バール・・・弓・・・楽器・・・。これじゃ八方塞がりだ。観月とともに逃げながら、策を考える。武器を持った石像は近づけば決まった動きをするなら、楽器を持った石像も。ここでも冷静に規則性を観察する水篠が、武器を持った石像ではなく、楽器を持った石像に近づくよう指示を出す。馬淵が楽器を持った石像に近づいたら石像が演奏を始めた。

真島も楽器を持つ石像に近づく。安心したのか涙を流し始める。水篠と観月も楽器を持った石像に近づいたが、2人で近づいても石像は動かない。そのため、水篠は観月をその場に残し、別の石像を目指す。第2の掟もなんとかクリアする水篠だが、足を負傷する。

第8話

第2の掟をクリアした段階で、水篠の右足は失われ、17人いたメンバーが6人になっていた。観月は水篠を治療しようとするが、自身の体力も限界に近づいていた。真島はこの結果に、手のひらを返して、馬淵を責め立てる。馬淵はそれを真摯に受け止める。
神像がまた動き出す。神像の動きに合わせて、中央に祭壇のようなものが現れる。

恐らくこれが最後の試練。3つ目の掟は「神を信仰せよ」。祭壇から連想されるのは、生贄を捧げること。真島は、久我をはじめ、多くの犠牲を出した責任を取るよう馬淵に迫る。馬淵はそれを受け入れ、自分の足で祭壇まで向かう。水篠は間に割って入ろうとするが、真島に止められる。ここに来ることを含め、多数決で決めた結果なため、馬淵が悪いわけではない。今になって責任を押し付けるのは卑怯だと考えている。

馬淵が祭壇に移動すると祭壇の周りに火が灯る。しかし、何も起きない。水篠が祭壇を調べに行く。すると、水篠とともに祭壇まで来た人数分炎が灯る。ここで待てば誰か助けに来てくれるのか馬淵にたずねる水篠。今日でゲートが開いて1週間たつ。助けが来る前に石像たちが動き出すだろうと馬淵が答える。
ゲートは7日経てば完全に開放される。そうなるとモンスターがゲートの外に出てしまう。時間内にダンジョンのボスを倒し、ゲートを封鎖するのがレイドの真の目的だが、水篠たちが失敗すると、神像たちが外の世界に出てしまう。
人数分炎が灯るため、残りのメンバーにも祭壇に来るよう促す水篠。全員が祭壇に上がった瞬間、青白い炎が祭壇を囲み閉じていた扉が開くのであった。

出ていいのか困惑するメンバー。ドスンという足音が聞こえ、馬淵が大声で、今度は何の音だと叫ぶ。石像たちがゆっくりと動き出し始めたのだった。

第9話

周りを囲んでいた青白い炎が1つ消える。さらに周りを取り囲んでいた石像が近づいてきた。水篠が辺りを観察する。水篠が見た石像の動きが止まった。石像が近づくのは目を合わさないからで、目を合わせば石像は動かない。水篠が石像から目を離さないよう指示を出す。青白い炎がまた1つ消える。

ハンターの1人が恐怖に耐えきれず、逃げ出す。祭壇から降りると、今度は赤い炎が消える。ハンターは出口を目指して走る。なんと扉から出ることができたのだった。しかし、扉が少し閉まった。

青い炎は時間の経過とともに消える。赤い炎は祭壇にいる人数だけ灯る。水篠は、開かれた扉は罠だと考える。目に見える偽の希望。神への信仰とは、恐怖と危険、甘い誘惑の中でも信じ続けることができるのか試されているのかもしれない。しかし、また1人恐怖に負けて逃げ出す。人が減れば死角が増えるため、石像を止めておくことができない。水篠は、青い炎はタイマーで青い炎がすべて消えるまで我慢すれば助かると言うが、真島は助かる保証はどこにもないと反論する。続けて、1番弱い水篠がこんなに活躍するとは思わなかった、役に立つはずがないと勝手に思い込んでいた。自分たちがこうして命拾いできたのは冷静に謎を解いてくれたおかげだと話す。しかし、涙を流しながらまだ死にたくない、生きて帰りたいと恐怖に負けて逃げ出す。
真島が抜けたことによって死角が増え、石像を止めておくことができなくなった。どんな理由を並べようと真島がいなくなった時点で死角ができてしまう。自分たちは死んでしまう。絶望が水篠に襲い掛かる。

第10話

馬渕が、観月にケガをしている水篠を連れて出るよう促す。まだ先の長い水篠たちが助かるべきだと話す。足を負傷している水篠のことを観月に託すが、観月自身も自力では歩けないくらい消耗していた。そのため、その場から立ち上がることすらできない。水篠が、馬淵に観月を連れて逃げるよう言う。馬淵は自分が残ると言うが、観月を運ぶことができるのは馬淵しかいない。結局、馬淵が観月を連れて逃げることになる。食事をご馳走する約束を果たせない代わりにと、マナ石を観月に渡す。ここから出たらお釣りをもらいに行くと。

水篠は死ぬのが自分1人で良かったと考える。こんなことならもうちょっと手厚い保険に入っておくんだったとつぶやく。真島が置いて行った剣を見つめる水篠。1体くらい道連れにしてやると、真島が置いていった剣を構える。

しかし、石像の攻撃に抵抗できないまま、祭壇の上に放り投げられる。右足はひざから下がなくなり、腹は槍で貫かれている。祭壇には水篠の身体から流れる血が大量にしたたり落ちる。

死の淵で、生への執着心が沸き起こる。無情にも石像が最後の一撃を水篠に加えようとする。その時、最後の青い炎が消えたのであった。時が止まり、ゲームコマンドのようなものが出てくる。シークレットクエスト「無力な者の勇気」の条件をすべてクリアしたと。

クリアした者は、プレイヤーになれるようだが、それ以外の情報はない。引き受けなかったら死んでしまう。水篠は困惑するが、死ななくてすむならとプレイヤーになることを承諾する。