俺だけレベルアップな件第11話~第17話

インスタンスダンジョン攻略編

第11話 第12話 第13話 第14話 第15話 第16話 第17話 

第11話

水篠は病院のベットで3日ぶりに目覚める。身体は元に戻っている。起きたところにハンター協会監視課の人が水篠に会いに来た。そこで、馬淵と観月の現在の状態について聞かされる。馬淵は片腕を失ったため、引退を余儀なくされるかもしれないこと、観月も精神的ショックが大きく治療を受けているが、ハンターを続けられるかどう・・・。真島をはじめほかの人の話については、水篠自身が断ったため話されなかった。裏切られたことを忘れられず、聞く気になれないようだ。生存者は6人。その生存者からの情報で二重ダンジョンに白虎ギルドと監視課がともに侵入したが、石像などの痕跡は何一つなかったようだ。中央の祭壇の上に水篠が倒れていただけ。生存者の情報が一致しているため、ハンター協会も信じることにしてようだ。今回、ハンター協会から人が来たのは水篠の覚醒後の覚醒である「再覚醒」を疑ってのことだった。

ハンターの能力は通常、覚醒時に決まるのだが稀に覚醒後に覚醒をする者がいる。自身の限界を超え、C級がA級に、B級がS級になることもある。魔力測定器で水篠の測定をする監視課。生存者の証言通り即死レベルのモンスターがいたのなら下級ハンターだけでは生き残れない。S級ハンターなしでは到底無理で、それほど強いモンスターが跡形もなく消えたということは水篠が再覚醒を果たしているのではと考えている監視課の人。水篠の数値はたったの10だった。E級でも普通は70を超えるらしい。ハンター協会の人は測定を終わらせるとそそくさと帰っていく。水篠は測定結果も気になったが、ウィンドウが頭上に出ていることの方が気になっていた。どうやら水篠にしか見えないようだ。水篠の妹が心配して見舞いに来る。

妹にコマンドの使い方を相談するが、逆に頭の方を心配される。コマンドには「プレイヤーの成長をサポートすること」「指示に従わない場合は、ペナルティがあること」「報酬が支給されること」など書かれていた。デイリークエストは「腕立て伏せ・腹筋・スクワットを100回ずつ、ランニング10km」と出ている。もちろんペナルティがあるようだ。水篠はそれを真に受けず、一眠りしてから考えることにした。
水篠が眠っている間も時計の針は進む。時間内に達成できなかったため、水篠は異世界に飛ばされる。そこはどこまでも続く砂漠地帯だった。さらに巨大毒牙砂ムカデというモンスターまで出現する。ペナルティクエストは4時間ここで生き抜くこと。

第12話

巨大なムカデに対して戦うすべがない水篠は、ただ逃げるしかなかった。しかも襲ってくるムカデは1匹ではなかった。逃げ続ける水篠。ペナルティクエストが完了したと同時に元いた病室に戻された。そして、ペナルティクエストの報酬が支給されたとメッセージが届く。水篠は報酬を受け取ることもなくその場で倒れてしまった。

それからはデイリークエストである基礎トレーニングを欠かさない水篠だった。意識が戻ってから4日、いくつか分かったことがある。まず、目の前のこれは厳格ではないようだ。人には見えなくても水篠の目にははっきりとウィンドウが見える。クエスト報酬では、「状態回復」「能力値ポイント+3」「ランダムボックス」から1つ選べる。短期間でシステムのうちのいくつかを理解していく水篠。このゲームのようなシステムこそ再覚醒の前兆なのかもしれないと考える水篠。

病院に外出許可をもらい、地下鉄の入り口でデイリークエストで手に入れたダンジョンの鍵を使用する。逃げるのには自信があるため、危なそうなら全速力で逃げることにする。ダンジョンの入り口が閉じる。水篠自身行ったことはないが、レッドゲートに似た概念なのだろうと考えた。最悪逃げようと考えていたのに、これでは逃げられなくなってしまった。ウィンドウに脱出するにはボスを倒すか「帰還石」というアイテムを使用しなければならないと書かれている。E級モンスターすらまともに1人で倒せないのにダンジョンクリアなんで・・・。ダンジョンの入り口からは不気味な風が流れてくる。

第13話

ダンジョン内は廃墟になった地下鉄構内。

獣タイプのモンスター特有のニオイが辺りに充満している。歩いていると急にモンスター(剛鉄牙のライカン)が襲ってくる。ゴブリン1匹でも厳しいのに、目の前のモンスターを倒せるか不安になる。恐怖で足が動かない。ヒーラーもいないためケガしたら終わりだ。二重ダンジョンでのトラウマが頭をよぎる。モンスターは待ってくれない。水篠に何度も襲い掛かってくる。

何とか逃げる水篠だが、体が軽いことに気づく。せっかく拾った命だと拳を握りしめ、殴り飛ばす。自身の力の上昇に驚く水篠。筋力の能力値を上げたためか、力が強くなっていたのだ。攻撃は当たるが相手にダメージがない。モンスターは水篠の攻撃に臆することなく、攻撃を仕掛けてくる。やはりだめなのかとあきらめかけるが、インベントリの中になぜか入っていた真島の剣を使用する。大した武器ではないが、それでもモンスターを倒すのには十分だった。インベントリもなかなか便利で、いろいろなものを保管できそうだ。モンスターが複数で現れる。石像と比べたら大した力ではないモンスター。落ち着きを取り戻す水篠であった。

第14話

レベルアップするとすべての能力値(筋力・速度・感覚・体力・知能)が+1される。レベルアップすれば強くなれるんだと自信がわいてくる。通常のダンジョンとは違い、ゲームのようなシステムに支配されているようなので、モンスターを倒しても魔法石を手に入れられない。その代わりアイテムをもらえる。

レベルが上がれば、ストアで道具も購入できるようだ。このダンジョンのレベルはE級程度。ライカンの牙の金額20ゴールドも大した価値はないんだろうなと思う水篠。このあとのこと考える水篠。ボスを倒すまで外に出られない。帰還石があれば出れるみたいだが、どこにあるかわからない。長期戦になれば食料も必要になる。E級とはいえ、現在のレベルでは自分1人で倒すのは無理だと考える。その前に死ぬかも・・・剣を握る手が震える。さきほど倒したモンスターと同種族のモンスターが10数体群れになって襲い掛かってくる。

「死ならもう経験した」水篠は想いを強く持ち、群れに攻撃を仕掛ける。すべてのモンスターを倒すが、さらに10数体のモンスターが襲い掛かってくる。ここで諦めたらなにもかも終わりだ。死んでしまえば妹や母親など守りたいものも守れない。すべて失ってしまう。いつまでも下を向いているわけにはいかない。強くなれるなら、このふざけたルールにだって従ってやると自分を奮い立たせる。

第15話

モンスターを数10体倒したところで、武器を見つめる水篠。剣はひび割れ寿命が尽きかけている。前に無理をして5万ちょいの短剣を買ったことがある。狩りは楽になったが、ボスとの戦いで一瞬にしてダメになってしまった。その日手にした戦利品は、E級の魔法石3つのみ。元が取れなくてあれっきり武器を買ったことはない。素手で1匹1匹倒してきた。真島の残した剣のおかげで、相当数のモンスターを倒すことができた。

鋼鉄牙のライカンを倒し終えたところで、「狼虐殺者」という称号を得る。獣タイプモンスターとの戦闘で能力値が40%アップするというものだ。さらに帰還石をはじめ、いくつかのアイテムも手に入れられた。強くなるチャンスを得たので、迷いながらもこのまま進むことにする。
普通のダンジョンと違ってモンスターがエンドレスに湧いてくる。生きている生命体という感じではない。モンスターには動作パターンがありそれを把握すれば、動きを予測しやすくなる。戦いを重ねるたびに強くなっていく水篠。水篠にはモンスターの名前が見えている。名前の色でモンスターの強さがある程度わかるようになっている。白は比較的弱く、オレンジは水篠と同程度か少し上くらい、赤はかなり強い。はじめはオレンジに見えていたライカンも白く見えるようになった。
強くなってはいるが、まだ下にいるモンスターにはかなう気がしない水篠。それでも下に続いている階段を降りる。武器にはいくつもひびが入っており、限界が近づいている。地下鉄の階段にしては、やけに長い。下の階に降りたところで敵の襲撃を受ける。襲撃の際に剣を折られてしまう。水篠もダメージを受ける。目の前には沼の主 青毒牙のカサカという大蛇が水篠を見下ろしている。名前はオレンジ色。敵の威嚇に対し、折れた剣を構える水篠であった。

第16話

カサカの鱗はとても固く折れた剣でも拳でも歯が立たない。逆に水篠はどんどんダメージを受ける。分厚い鱗に攻めあぐねている水篠。カサカの攻撃は一層激しくなる。「人類最弱兵器」ハンターたちから嘲笑われ続けてきたことを思い出す。そんな自分が恥ずかしいと感じる。二重ダンジョンでは、強者の前では偽りの優しさなど無力に等しいことを学んだ。弱いから知識があっても頭の回転が速くても相手のことを想っていても裏切られる。だから強くなるんだと決意を固くする。神像と対峙した時の事を思い出し、あの時の恐怖と比べればカサカなど大したことないと思う。素早いカサカの首に飛びつき、剣を捨て両腕で締め上げる。

病院では医師と看護師が水篠の話をしている。夜になっても帰ってこないが、もうすぐ退院だから大丈夫だろうと。上級ハンターは、億万長者になれるらしいが、低級ハンターは金にもならない危険なことばかり・・・。たまに急患で運ばれてくるハンターを見るとゾッとする。なぜあんな仕事をするのかと、医師が話す。なぜか質問する看護師。ゲートの向こうで何が繰り広げられているのか・・・。事故で運ばれてくる患者とは次元が違うくらいグチャグチャになっているが、そんな状態で死なないってのがまた驚きだと話す。
ダンジョン内でカサカの死体に寄りかかっている水篠。暴れるカサカだったが、水篠は辛くもカサカを倒すのであった。

第17話

服も武器も身体もボロボロになってしまったが、カサカを倒し、「カサカの毒牙」という短剣を手に入れる。これは真島の剣の2.5倍の攻撃力がある。さらに「麻痺」「出血」という効果もある。もう1つの「カサカの毒」は危険なにおいがするアイテムだ。物理ダメージが20%減少するが、筋力がー25となる。

ボスを倒したのでダンジョンから出ることができた水篠。元の世界の駅構内に戻ってこれた。誰もいない構内。外に出てみると、自衛隊の人が声をかけてくる。どうやらダンジョンからモンスターが出てきてしまったようだ。ハンターだと分かり現場に案内される。感覚能力がアップしたからなのか、ボスのオーラを感じる水篠。

現場では、モンスターを倒すためにすでにハンターたちが戦っている。E級が8人とD級が1人。そのD級がタンクだからとどめを刺せる火力に欠けていて戦いが長期化しているようだ。やじ馬たちは、被害の拡大の事や地価が下がることなど言いたい放題だ。ヒーラーとして観月も参戦しているが、動きがぎこちない。まだ、二重ダンジョンがトラウマになっているようだ。D級のボスに対し、水篠が折れた真島の剣を投げる。

水篠の一撃でモンスターは倒されるがそれに気づけたのは、D級のハンター1人だけだった。観月も水篠の影を見つけたようだ。水篠は何も言わずその場を後にする。